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自然素材とテクノロジーを匠が活かす。心地よいデザインと高い断熱・構造性能を目指して・・・山口工務店

庇の価値とは

「百津の家」では3種類の庇を使い分けます。

1種類目は建物南面に配し、2階から大きく屋根を延長したキャノピー。
まだブログではこのキャノピーはなぜか(?)登場の機会がありませんのでその時に話に出しましょう。
特に出し惜しみではありません(苦笑)

2種類目の庇は機能としては生活上の霧除けでもあり、窓を長く雨水から守る役割も兼ねています。
アルミ小庇090522
その昔、まだ窓が木製建具で製作されていた時代によく見られた霧除け庇も今ではすっかり見る機会が減りました。
霧除けの役割は雨天時に窓を開放していても直接雨を室内に呼ばないためのもの。風のないしっとり雨の時には窓を開放し、通風しながら過ごすことができる優れものです。
そしてもう一つ、元来窓がまだ木製建具で製作されていた時代(勿論希少ですが今もあります)には窓そのそもの水密、窓周辺の防水が弱く、防水面の観点から霧除けを設けないわけにはいかなかったという一面もあります。

今では木建(もくたて)がアルミサッシに変わり、開口部周辺の防水品質も昔に比べよくなりましたので窓の上に庇のない住宅が当たり前のようにも感じる街並みとなっています。



そんな時代背景から姿を消しつつある霧除けですが、「百津の家」では予算の兼ね合いからすべての窓とはいきませんが、通風を必要とする窓にはアルミ製の小庇を設けています。

そして、細部ディテールとしてはよくある既成品のアクセント庇ですと仕上げた外壁の上から小庇を取り付けますが、それでは雨水から長期に開口部を守ることはできませんので、外壁の下に小庇を潜り込ませる施工方法を取っています。
この方は施工にはひと手間掛かりますが、本来の目的からしても譲れない部分です。



そして3種類目の庇は先ほどのアルミ製小庇で上げた2つの機能にプラスし、「百津の家」のファサードにシンボリックな意匠を持たせることも意図しています。
設計段階から「周囲のランドマークに」との建て主の意志をくみ取ったものです。
木製庇090522_1
(写真では一部FIXガラスが入ってませんが、遅れて今日付きました(笑))


3種類のサッシを特寸でL字状に連装し、少し外壁よりもせり出すようコーナー配置させています。
その水平に伸びる横長窓の上に掛かる庇は木製で大工の手により製作されたもの。
この木製庇は少し深めに軒を出すことで横長窓をより意識させながら雨水から窓を守ってくれる役目を果たします。



庇の役割は、大きくは四季における日射のコントロールと、雨水からの建物保護と雨との生活共生。

これらの意味は時代によらず普遍的なものですが、庇に傾ける我々の価値が薄くなってしまったのが現代の街並みを生んでしまったのかもしれません。

■設計・施工:株式会社山口工務店
■問合せ先:TEL 0250-62-0318
        FAX 0250-62-7977
        E-mail yamahome@chive.ocn.ne.jp
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2 Comments

sagami  

よかったよかった。

前回 某パワービルダーの企画商品に似ているという
暴言を撤回します。
こういった部分のを どのようにオリジナル化、標準化するのが個性になってきますね。
うちらも「漆山の家」で 霧除けやるのですが
ディテールどうしようか考え中。

2009/05/26 (Tue) 08:24 | EDIT | REPLY |   

masakazu  

sagamiさん

某ビルダーより知恵と手間をかけてるのには間違いありません。
これで一緒と言われてると凹みます(苦笑)

霧除け一つでも取り付け方、軒深さ、鼻先の処理、窓を含めてた全体プロポーションなどなど考える余地はいくらでもありますからね。
是非良い霧除けを見せてください←完全マニア的発言(爆)

2009/05/27 (Wed) 03:26 | EDIT | REPLY |   

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  •  窓の上には小庇
  • 「百津の家?」の外部の窓上にはアルミ小庇が取り付きました。 霧除け程度の小庇ですが、日常の霧除けと同時に、長期における開口部から...
  • 2010.08.06 (Fri) 21:29 | YaMa_Home blog