断熱・省エネ性能計算勉強会
住宅業界も厳しい競争に曝される社会、我々工務店がお客様と接するように、建材店の方もお客であるビルダーや工務店などに様々なアプローチで営業、提案をしていかなければ存在すら危ぶまれる時代です。
今回はそんな建材店の方が「住宅の断熱計算、省エネ性能計算をできるようになって、工務店をサポートしていきたい、提案していきたい」ということで勉強会を開きました。

計算そのものは専用ソフトがいくつもありますが、今回建材店の方が新規購入した新木造住宅技術研究協議会(略称「新住協」)の「QPEX」という計算プログラムを使いました。
新住協は一般には馴染みのない団体ですが、一言でいえば今の日本の木造在来構法の高気密高断熱構法を確立して世に広めた立役者といったところでしょうか。そんな歴史と技術ある団体です。
さてまずは建物の断熱計算、省エネ性能計算をすると一体何が判るのかを簡単に触れておきますと、計算することで「建物からどれくらい熱が逃げるか?」「1年間にどれくらいの暖房費がかかるのか?」などが判ります。つまりは車でいうところの”燃費”に相当するものが判ります。
私は前職でこうした断熱・省エネ性能の計算もしていたので朝飯前ですが、初めてする人にとっては理屈っぽく、慣れない専門用語や記号が並ぶ世界に写り敷居が高い印象のようです(笑)
計算の大きな流れとしては建物の断熱仕様を入力→建物各部の面積を拾い出し→熱損失係数(Q値)を算出し→空調エネルギーを算出するという流れになります。
作業自体はある種ルーチン化しているので、計算ソフトに倣って決められた手順で進めていけばいいのですが、どの計算ソフトにも言えることですが、そもそもの理屈や考え方を知らないで数字だけソフトに入れるだけですと計算自体がブラックボックス化され、計算間違いに気付かないということになりかねませんので、この勉強会の時もそんなそもそも論的なことや計算上のポイントなどをアドバイスさせてもらいました。
QPEXのソフト自体私は初めて使ったのですが、どのソフトも決められた計算ルールに基づいてできていますので基本は一緒です。QPEXを使った感想としては、流石工務店のオヤジ向けに作ってあるだけあって親切で判りやすい(笑)よくできたソフトです。ただ、設備エネルギーのシミュレーションが暖房費だけで冷房費の算出には対応していないのが残念なところでした。
Q値計算の手順や理屈が判ればあとは断熱材の種類や厚さ、開口部の性能、空調設備の種類など無限の組み合わせを試して瞬時に建物の省エネ性能を見ることができますのでかなり強力なツールになります。
この計算結果は各種申請用の計算書としても使えますし、住宅提案の際に建物の形状や断熱材の種類を変えたらどう性能が変化するかなど精度良く求めることができます。
こうしたシミュレーション、実際のところ割合的には”やっていない事が多い”という業界の現状があります。
車やエアコン、冷蔵庫は1年でどれくらいガソリンや電気を使うかが判るのに、住宅はどれくらいの燃費かわからない。なんだか比べると不思議な感じですが昔から住宅の燃費はかなり大雑把に考えられてきています。
ただし、今後は住宅もシビアにエネルギー消費量を開示していく時代に入ってくることは間違いありません。
住宅の性能を正しく捉えて省エネ設計をしていく、そんな事が我々には求められてきます。これを読んでドキッとした業界の方は直ぐに勉強を始めましょう(笑)
■問合せ先■
株式会社山口工務店
TEL : 0250-62-0318
FAX : 0250-62-7977
E-mail : yamahome@chive.ocn.ne.jp
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