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長期優良住宅は優れているか?(2)

前回の(1)からの続き。(初めての方は「長期優良住宅は優れているか?(1)」からどうぞ)

長期優良住宅の概要


長期優良住宅は2009年にスタート。住宅の長寿命化を目的としている。
戦後住宅の低寿命(スクラップ&ビルド)を教訓に、量から質への転換を図り、良質な住宅ストックを形成し住生活の向上を目指したものです。

具体的には、住宅を長持ちさせるに、

 ・物理的耐用性:建物が腐朽・劣化せず、倒壊せず、丈夫であること
 ・社会的耐用性:ライフスタイルや住み手の変化に合わせた可変性、設備の更新し易さ
 ・維持保全:計画的な点検、補修、改修を行い、住み継ぐこと

大きくはこの3点で、そのための仕組みや性能を強化した住宅を長期優良住宅としています。

より具体的な技術基準を整理すると、以下7つの性能項目に分けることができます。

性能項目項目内容参照する基準等
性能表示制度からの準用項目劣化対策3世代以上(概ね100年)にわたり住宅の構造躯体が使用できること劣化対策等級3
+長期優良住宅独自基準あり
耐震性極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上
維持管理・更新の容易性構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修)・更新を容易に行うために必要な措置が講じられていること維持管理対策等級3
(専用配管の基準のみ適用)
省エネルギー対策断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること
(次世代省エネ基準に適合すること)
省エネルギー対策等級4
長期優良住宅
独自項目
住戸面積良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
居住環境良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること
維持保全計画建築時から将来を見据えて、定期的な点検等に関する計画が策定されていること
対象:一戸建て住宅(共同住宅は上記以外にも基準あり)

こうしてみると、7項目中、上の4項目が前回説明した住宅性能表示制度からの基準のスライドであることがわかります。

長期優良住宅の基準の骨格は、性能表示制度からの準用+長期優良独自基準で構成され、しかも、項目によっては性能表示のランクで最高等級でないものも含まれています。

性能表示制度と長期優良住宅の関係図

言い換えれば、長期優良住宅は、

 「経済性も踏まえながら、長く住み継ぐために国が性能バランスをとった住宅」

だと言えます。

さらに、性能表示はあくまでも住宅の通知表として、住宅が完成した時点での評点を分かりやすく示したものですが、長期優良住宅は”長く住み継ぐ”という少なくとも100年先は見通した維持管理・保全の仕組みが組み込まれているのが特徴です。

維持保全計画の中では、住宅を建築した際の図面や図書の記録、住み始めてから時間軸の中での定期点検、補修、改修した記録を住宅履歴として管理・保管します。
ちょうど車の整備点検記録や医者のカルテのようなもので、これがあればいつ、どこを、どう手を加えたかが後世にも記録として残りますので住宅を改修したり、転売する際には有利になります。

まとめ


今回は長期優良住宅の全体像をとらえるだけの話で、各7項目それぞれの優劣まで掘り下げませんでしたが、大きなくくりで長期優良住宅が何を目指しているのかは見えたかと思います。

裏を返すと、”長期優良住宅は最高の家ではない”というのもご理解いただけると思います。
それでは何故今長期優良住宅がこれだけ指示されているのか?答えは簡単です。いいか悪いか補助金が大きなインセンティブになっているのです。
長期優良住宅に対する補助金が100万(または120万)ですから、建物の仕様アップや書類作成・申請、住宅履歴管理に伴うコストアップをみても大きな後押しになっています。

問題提起


そんな長期優良住宅ですが、私は少し腑に落ちないところがあります。
それは個人住宅、しかも自由設計の中で家づくりをしている立場として、宛がいぶちの一律基準がはたして十人十色の住み手にとってベストな住宅なのか?ということ。

良質な住宅ストックを形成していくという目的ならば、性能表示制度+その地で家を見続ける我々地域工務店の組み合わせで十分担保が可能だとも思っています。
また、性能表示はあくまでも10項目、それ以外にも住宅の”優良”決める要素があります。

その方が住まい手のニーズ(=要望、優先順位)を反映しながら取捨選択が可能であるし、長期優良住宅のような一定の性能を宛がうのでなく、性能表示制度や他の性能指標、”住み心地”を決める設計的な優良さなど、自らの意思でチョイスできるので、これこそ真の長期優良住宅ではないか。
真剣に自分たちの家づくりがしたい建て主にとってもベストマッチします。

そこに長期優良住宅だけ優遇せず、同じか適切な額の補助金を出せばよいのではないかと。

ただ、そのためには長期優良住宅以上の個別対応が要求されるので、綿密なコンサルティングと実行力(設計力、施工力、監理力)が必要になってくるでしょう。
一律な長期優良住宅を作り続けるよりも、我々住宅会社の負担は大きくなるものの、選べる性能をチョイスした家づくりが長期優良住宅の未来のように思います。



大切なことは、ただ単に長期優良住宅を指定するのではなく、建築する住宅に自分が欲しい性能が備わっているかどうかを見極めること。それはハード的な住宅スペックであったり、住み心地を決めるソフト面での設計配慮であったりします。
このレベルまでくると表面上だけを取り繕った住宅会社は音を上げる領域で、規格量産型の住宅会社や営業力主体の住宅会社も不得意分野になってきます。

建て主としては、ていねいなコンサルティングと個別対応、実行力のある住宅会社と巡り合うこと。これに尽きます。
おそらくこのような住宅の総合力を即座に見極めるのは困難だと思いますので、ここはと思う住宅会社があれば話を聞く機会をもうけて相談し、投げかける質問に対してどれだけ的確な答えを返すかで判断するのも一つの方法です。

我々としては、そんな様々な方向から飛んでくる相談事や要望事項にどれだけ応えられるかが試されてるわけで、何気にいつも緊張しながら日々勉強、能力アップを目指しているわけです。


<関連過去エントリ>
2011.02.17 長期優良住宅は優れているか?(1)


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  • 2011.02.21 (Mon) 09:44 | YaMa_Home blog