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構造計算へのこだわり(2)- 構造計算で構造を最適化 -

前回(1)からの続き。(←初めての方は最初のこちらから)

前回説明した仕様規定で作る建物は、曖昧な要素を多分に含み、設計者や大工の感や経験則に頼りつつも簡便に運用できるようにできた仕組みです。

構造計算で構造を最適化


仕様規定で設計した建物と、構造計算で設計した建物。この二つを比べると面白いほど構造が変わります。
機会があれば記事化したいところですが、どちらが正しい間違っているという話ではなく、構造計算した方がより精度よく安全に設計できているという言い方が正しいでしょう。そして間違いなく丈夫であるということも。

下の図面は、建物の構造図。建物の骨組みである柱や梁がどう組まれているかを部材寸法と共に図面化したものです。

DSC_2520_プレカット図修正

赤で修正が入っている部分が構造計算の結果をフィードバックしたもの。
小さくて分かりにくいですが、梁の樹種(強度が変わります)や断面寸法、梁組みが大幅に変わっています。

この時は、最初に経験則的に構造図(伏図)を作って、それを元に構造計算に掛けて不足でNGとなる材料を見直し、極端に偏った力のかかり方で部材が大きくなったり、そもそも納まらない部分は梁組みを変えて無理なく力が流れるようにしていきます。

また、木造在来工法では仕口の断面欠損が思わぬ強度低下につながりますので、危険な場所では仕口の形状を変えて対応するなども計算することで見えてきます。

同時に構造壁となる耐力壁の配置や、床や屋根の水平構面の検討も行い安全を確認していきます。

構造計算では、仕様規定での簡易計算や経験則では読み切れない部分も含めて精度よく数値化し、論理的に根拠ある設計ができるのです。


(余談)なぜ構造計算が法的に義務づけられていないか


ここまで書くと一般の方は、ではなぜ住宅設計では仕様規定が法的にはスタンダードなのか。構造計算が義務付けされていないのかという疑問を持つと思います。

本当の理由は定かではありませんが、恐らく理由はこうです。
今も昔も住宅を作るのは大工や工務店が中心。法整備とその運用を考えても、家づくりの底辺である一人大工でも鉛筆と電卓があれば、足し算や掛け算ができれば計算ができるように簡便化している(事実、法の中身がそうです)。あまり複雑にすると住宅が建たなくなるから(笑)と、私は考えています。
そして、細かい部分は大工の経験に任せ、法律も性善説を前提にでできています。


(次回「構造計算へのこだわり(3)- 社内で構造計算できるメリット -」へ続く・・・


<関連過去エントリ>
構造計算へのこだわり(1)- なぜ構造計算するか -

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  • 2012.04.02 (Mon) 12:46 | YaMa_Home blog -新潟木の家 自然素材の注文住宅-