構造計算へのこだわり(2)- 構造計算で構造を最適化 -
前回(1)からの続き。(←初めての方は最初のこちらから)
前回説明した仕様規定で作る建物は、曖昧な要素を多分に含み、設計者や大工の感や経験則に頼りつつも簡便に運用できるようにできた仕組みです。
仕様規定で設計した建物と、構造計算で設計した建物。この二つを比べると面白いほど構造が変わります。
機会があれば記事化したいところですが、どちらが正しい間違っているという話ではなく、構造計算した方がより精度よく安全に設計できているという言い方が正しいでしょう。そして間違いなく丈夫であるということも。
下の図面は、建物の構造図。建物の骨組みである柱や梁がどう組まれているかを部材寸法と共に図面化したものです。

赤で修正が入っている部分が構造計算の結果をフィードバックしたもの。
小さくて分かりにくいですが、梁の樹種(強度が変わります)や断面寸法、梁組みが大幅に変わっています。
この時は、最初に経験則的に構造図(伏図)を作って、それを元に構造計算に掛けて不足でNGとなる材料を見直し、極端に偏った力のかかり方で部材が大きくなったり、そもそも納まらない部分は梁組みを変えて無理なく力が流れるようにしていきます。
また、木造在来工法では仕口の断面欠損が思わぬ強度低下につながりますので、危険な場所では仕口の形状を変えて対応するなども計算することで見えてきます。
同時に構造壁となる耐力壁の配置や、床や屋根の水平構面の検討も行い安全を確認していきます。
構造計算では、仕様規定での簡易計算や経験則では読み切れない部分も含めて精度よく数値化し、論理的に根拠ある設計ができるのです。
ここまで書くと一般の方は、ではなぜ住宅設計では仕様規定が法的にはスタンダードなのか。構造計算が義務付けされていないのかという疑問を持つと思います。
本当の理由は定かではありませんが、恐らく理由はこうです。
今も昔も住宅を作るのは大工や工務店が中心。法整備とその運用を考えても、家づくりの底辺である一人大工でも鉛筆と電卓があれば、足し算や掛け算ができれば計算ができるように簡便化している(事実、法の中身がそうです)。あまり複雑にすると住宅が建たなくなるから(笑)と、私は考えています。
そして、細かい部分は大工の経験に任せ、法律も性善説を前提にでできています。
(次回「構造計算へのこだわり(3)- 社内で構造計算できるメリット -」へ続く・・・)
<関連過去エントリ>
・構造計算へのこだわり(1)- なぜ構造計算するか -
■□ 問合せ先 □■
自然素材を使ったシンプルで快適、心地いい家づくりを目指しています。詳しくはwebをご覧ください。
新潟木の家 自然素材とテクノロジーを匠が活かす|山口工務店
TEL : 0250-62-0318
FAX : 0250-62-7977
E-mail : yamahome@chive.ocn.ne.jp
blog左下のメールフォームからもどうぞ
■□ Facebookはじめました □■
・山口雅和 Facebook個人アカウント(Facebookアカウントが必要です)
・山口工務店 Facebookページ(どなたでもご覧いただけます)
FBページでは、BlogやTwitterで書いた事に対する追記や番外情報なども書いてます。
■□ 直近web更新 □■
(1)2012.01.13 トップページに「こがねの家」完成見学会の案内を追加
(2)2011.11.04 百津の家Ⅱが住まいネット新潟Vol.12に掲載されました

ホームページをリニューアルしました。
当社の住宅に対するスタンス、設計コンセプトなどかみ砕いた説明をしています。
前回説明した仕様規定で作る建物は、曖昧な要素を多分に含み、設計者や大工の感や経験則に頼りつつも簡便に運用できるようにできた仕組みです。
構造計算で構造を最適化
仕様規定で設計した建物と、構造計算で設計した建物。この二つを比べると面白いほど構造が変わります。
機会があれば記事化したいところですが、どちらが正しい間違っているという話ではなく、構造計算した方がより精度よく安全に設計できているという言い方が正しいでしょう。そして間違いなく丈夫であるということも。
下の図面は、建物の構造図。建物の骨組みである柱や梁がどう組まれているかを部材寸法と共に図面化したものです。

赤で修正が入っている部分が構造計算の結果をフィードバックしたもの。
小さくて分かりにくいですが、梁の樹種(強度が変わります)や断面寸法、梁組みが大幅に変わっています。
この時は、最初に経験則的に構造図(伏図)を作って、それを元に構造計算に掛けて不足でNGとなる材料を見直し、極端に偏った力のかかり方で部材が大きくなったり、そもそも納まらない部分は梁組みを変えて無理なく力が流れるようにしていきます。
また、木造在来工法では仕口の断面欠損が思わぬ強度低下につながりますので、危険な場所では仕口の形状を変えて対応するなども計算することで見えてきます。
同時に構造壁となる耐力壁の配置や、床や屋根の水平構面の検討も行い安全を確認していきます。
構造計算では、仕様規定での簡易計算や経験則では読み切れない部分も含めて精度よく数値化し、論理的に根拠ある設計ができるのです。
(余談)なぜ構造計算が法的に義務づけられていないか
ここまで書くと一般の方は、ではなぜ住宅設計では仕様規定が法的にはスタンダードなのか。構造計算が義務付けされていないのかという疑問を持つと思います。
本当の理由は定かではありませんが、恐らく理由はこうです。
今も昔も住宅を作るのは大工や工務店が中心。法整備とその運用を考えても、家づくりの底辺である一人大工でも鉛筆と電卓があれば、足し算や掛け算ができれば計算ができるように簡便化している(事実、法の中身がそうです)。あまり複雑にすると住宅が建たなくなるから(笑)と、私は考えています。
そして、細かい部分は大工の経験に任せ、法律も性善説を前提にでできています。
(次回「構造計算へのこだわり(3)- 社内で構造計算できるメリット -」へ続く・・・)
<関連過去エントリ>
・構造計算へのこだわり(1)- なぜ構造計算するか -
インフォメーション
■□ 問合せ先 □■
自然素材を使ったシンプルで快適、心地いい家づくりを目指しています。詳しくはwebをご覧ください。
新潟木の家 自然素材とテクノロジーを匠が活かす|山口工務店
TEL : 0250-62-0318
FAX : 0250-62-7977
E-mail : yamahome@chive.ocn.ne.jp
blog左下のメールフォームからもどうぞ
■□ Facebookはじめました □■
・山口雅和 Facebook個人アカウント(Facebookアカウントが必要です)
・山口工務店 Facebookページ(どなたでもご覧いただけます)
FBページでは、BlogやTwitterで書いた事に対する追記や番外情報なども書いてます。
■□ 直近web更新 □■
(1)2012.01.13 トップページに「こがねの家」完成見学会の案内を追加
(2)2011.11.04 百津の家Ⅱが住まいネット新潟Vol.12に掲載されました

ホームページをリニューアルしました。
当社の住宅に対するスタンス、設計コンセプトなどかみ砕いた説明をしています。
- 関連記事
-
-
基礎立ち上がり縦筋(あばら筋)にフックは必要か?に回答 2013/05/13
-
構造計算へのこだわり(3)- 社内で構造計算できるメリット - 2012/04/02
-
構造計算へのこだわり(2)- 構造計算で構造を最適化 - 2012/03/30
-
構造計算へのこだわり(1)- なぜ構造計算するか - 2012/03/29
-
シャープな意匠と高断熱を両立|YKK新樹脂サッシ「APW330」 2011/03/04
-