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屋根の構造性能アップのポイント

通常業務が忙しくブログレポートが遅れている中、「市野山の家」は順調にどんどん進んでいます。
ここからはブログ時間と現実の落差を埋めるべく続けて更新する意気込みで(笑)


住宅の基本性能を司る躯体(くたい)構造、各部をどのような仕様で作るかは構造設計の段階で決めていきます。
具体的には構造計算(許容応力度計算)により軸組のボリューム、壁や屋根などの鉛直・水平構面、柱や梁の接合部の仕様を設計。地震力や風圧力、積雪荷重などの外力から安全であることを確認できる仕様(=作り方)に落とし込んでいきます。

あとは、それが机上の計算にならぬよう、現場で大工が作り、現場管理のメスを入れながら性能を補完していきます。

屋根構面の作り方


屋根構面の強さは、その屋根がどれだけのせん断性能があるかを屋根倍率や許容せん断力という数値で捉えて設計します。

この屋根の仕様は“普通の屋根の作り方”というものがもしあるとすれば、それよりも少々手が込んでいます。とはいえ、特殊な施工方法はとっておらず、木造軸組み工法のオーソドックスな流れの中で如何に剛性アップができるかという範囲で施工。

R0029012_屋根構面_屋根倍率_垂木_転び止め

垂木に転び止めを併用した屋根構面で、屋根倍率と各部の接合方法は以下の通り。

<屋根倍率:1.06 (単位長さ当たりの許容せん断耐力:2.07kN/m)>
・垂木:梁に対してN75-3本打ち(片面2本、片面1本)
・転び止め:N75-4本打ち(裏表各2本)
・構造用合板:N50@150

この値は次のセクションで出てくる新グレー本の中の実験データから誘導されたもの。
現場からすると釘の量と長さが“普通”より、少々スケールアップしていますが、何も特別なものはないので施工に迷いはありません。特別な技術を使わず性能を上げるというのは、無理なく品質アップするポイントでもあります。

ややもすれば、屋根下地は構造的に意味を持たない作り方が見受けられるのでしっかりと作り込まなければいけません。


屋根構面の許容せん断力アップを望む


屋根は垂木と呼ばれる線状の部材を屋根勾配なりに配置して、その上に構造用合板などの屋根下地材を止めつけて作ります。
屋根は垂木があるため屋根面としての剛性が上げづらい部分でもあります。
屋根面で力の流れは、野地合板~垂木~梁という流れ。せん断力を受けた時に垂木が転がりながら壊れる。その結果、梁に合板を直貼りできる床や壁に比べるとせん断耐力(屋根倍率)を上げづらいという理屈です。

木造構造計算の業界スタンダード「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年)」(通称「新グレー本」←書籍がグレーなので。その他にも通称を色名で呼ぶ○○本というものが多数存在)の中でオーソライズされている屋根構面も実務的には力不足な場面が多い。
この辺りの余裕度は地域性や住宅プランで大きく変化する。当社のような雪国で尚且つ構造的な内部間仕切り壁が少ない場合が一番不利となる。

専門のビスメーカーでも屋根倍率がとれるものも存在するが、あれも飛び抜けた剛性アップとならないので今一歩。これを見ているその筋のマーケターの方がおられれば、是非ともあんな仕様やこんな仕様で実験をして耐力アップした製品を開発しませんか?と助言させていただきたい。

ひねり金物の役割


写真の中で垂木と梁を相互に留めている金物が「ひねり金物」。
垂木の釘留めとこのひねり金物はどちらも役割が違います。垂木を釘留めしたからといって、このひねり金物を省略することはできません。

R0029013_あおり止め金物

先ほどの屋根構面のところで、垂木は梁にN75釘を3本留めしてありますが、あれは屋根面が水平力を受けた時に垂木が転ばないようにするためのもの。

そしてこのひねり金物は暴風時に屋根全体が風で持ち上がろうとした時に、屋根を梁に固定しておくもの。つまりあおり止めのための金物です。

言い換えれば、垂木の固定に使ったN75釘3本打ちは水力に、このひねり金物は垂直に持ち上がろうとする力に抵抗するためのもの。
それぞれ受け持つ役割が違います。2つを同時に構造解析か実験した場合を除き、別世界で考えなければいけません。
というわけで「釘留めしたからひねり金物はいらないでしょ?」という疑問には「NO」ということになりますので誤解なきよう。


関連過去記事


2012.03.29 構造計算へのこだわり(1)- なぜ構造計算するか -
2012.05.07 床・屋根構面の作り方|水平構面の施工ポイント
2011.11.26 キューブ構造が強さのカナメ|水平構面の性能アップ




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