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欠陥住宅な驚きの施工実態とインスペクションの必要性

「坂井の家リノベ」現場は内部の解体工事が完了しました。

P1000771_内部解体_リノベーション

床も天井も内部の仕上げは下地材と共に全て撤去。

このあと、間仕切り変更のための基礎工事にかかるのですが、その前に現況の構造を改めて調査確認。

室内の壁・床・天井を全て撤去することであらわになる住宅の構造。そこで私たちは予想もしていなかった構造上の重大な欠陥を見ることになります。

---2012.12.19追記----
解体後の360度パノラマ全景を下の記事で公開。
2012.12.19 クルクル回せるパノラマ画像をiPhoneで撮影|Photosynth
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住宅履歴


現在の施主さんはこの住宅を中古住宅として購入しています。つまりこの家にとっては家主が二代目ということに。
中古住宅として取得した際に残されていた設計図書は平面図、立面図、配置図、仕上表。住宅の履歴事項としてはとても少ない情報量。(昔なのでその程度でしょう。むしろ残っているだけラッキー)

床下は潜れば分かりますが、壁の中や床梁などの状態は壊すまでは分かりません。
当時の平面図には耐力壁となる筋交いの位置と仕様(片筋交い、たすき掛け筋交い)が記されており、その通りに建築されていれば当時の耐震基準としても安心できる。。。ハズだったのですが。


耐震”無”計画


壊してみて分かったのが、耐力壁の配置が全く無計画だったこと。
平面図に記された位置に筋交いがなかったり、たすき掛け筋交いのはずなのに片筋交いであったり。

R0029617_筋交いがない_欠陥住宅

図面ではあるはずの場所に全く筋交いが入っていなかったり。

R0029613_筋交いがない_欠陥住宅

この状況から当時の工事の様子を想像するに、設計図を全く無視した施工がなされていたことが想像できます。

現場に図面はあったのでしょうが、大工が思うまま、勝手に筋交いを入れていった。そしてそれを管理するはずの現場管理者も不在、もしくは職務を全うしていなかったということに。

すべてカウントしたわけではありませんが、ぱっと見、設計の半分かそれ以下の筋交いしか入っていない様子。

筋交いの切断


そして、我々を最も驚愕させたのがこちら。

R0029512_筋交い切断_筋交いがない_欠陥住宅


あろうことか、筋交いが切断されていたのです。ここ以外にもう一ヵ所。
共に換気扇の貫通部分と筋交いが干渉し切断されています。

場所は台所の換気扇と浴室の換気扇。
換気扇の貫通穴は大工の施工範囲と思われますので、当時、大工が筋交いを入れ、そして大工自らが筋交いを切断し、換気扇用の貫通口を設置したのだと思われます。

共に建物の出隅部分で構造上重要な場所。
ついでにだめ押しすると、切断された筋交いが入っている場所は両方とも”片筋交い”ではなく、”たすき掛け筋交い”とすると平面図には明示されています。もはや目も当てられません。


耐震改修に向けて


幸いなことに、「坂井の家リノベ」では耐震改修を前提として計画していましたので、今回分かった構造的な欠陥はすべて解消されます。

解体工事を終えて分かった今回の状況は直ぐさま施主さんに報告。
この開けてビックリ玉手箱状態に、施主さんも驚きつつ、耐震改修をすることを前提としていたことに「でもよかったねぇ」と一安心(?)。


よかったことも


悪いことばかり書いていても気分が沈みますのでよかったことも。

土地柄この辺りは地下水位が高く、床下はかなりの高湿状態でしたので旧浴室廻りの木材腐朽を心配していましたが、土台まわりは健全。

R0029527_土台シロアリ・腐朽なし

間仕切り変更のために切断した土台の断面からも分かりますが、シロアリによる蟻害や木材腐朽は見られませんでした。
土台は交換なしでそのまま使用できます。

また現状は床下は砂敷きのみで防湿層がないので、地盤面からの湿気対策として防湿シートを敷いて地盤面の防湿を図ります。

他には、梁関係を留めている羽子板ボルト関係は適宜使用されており、こちらも現状のまま使用しても問題ないと判断。


潜在的な欠陥住宅は多い


擁護するつもりはありませんが、設計図書と違った施工や、欠陥住宅と呼ばれる住宅にも”程度”、”危険度の段階”があると思います。

通常使用においては問題にならない軽微なものから、即人命に危険を及ぼすような最上級の施工的な欠陥。
今回の耐力壁不足と筋交いの切断はその中でも最上級の部類に入るでしょう。
もしも建て主側が設計監理者、施工者に対して訴訟を起こしたら100%言い逃れできずに賠償責任を負うレベル。

このような蓋を開けてみないと分からない潜在的な欠陥住宅は間違いなく多く存在するでしょう。

悲しい事に、万が一大地震により被災し建物が倒壊してしまっても、スクラップのようにがれきの山になった住宅からは、その建物のどこに欠陥があったかを確認するのは不可能。
自然災害により耐震性不足の隠ぺいが行われるようなもの。

これからの時代、こうした既存建物を改修しリノベーションによって第2の人生を歩む住宅が多く出てきますが、安易な表層(内装仕上げ)だけのリノベーションだけではなく、改修の前に適切なホームインスペクション(住宅診断)を行った上で古い住宅の質を回復していかなければならないと強く感じます。

そうしなければ、日本の住宅ストックはよくならない。




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