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気密工事と細部の断熱補強|なぜ気密するのか?

「弁天橋通の家」では気密工事が完了しました。

気密工事(気密処理)がなぜ必要か?については、記事末尾で書きますが、まずは工事の様子から。


気密処理の基本は隙間を閉じること


断熱工法によって気密処理の方法や使う気密部材は変わりますが、考え方の基本は“隙間を閉じること”。
その隙間を閉じるために使う気密部材を“気密補助材”といい、以下の4種類があります。

・気密テープ
・気密パッキン材
・現場発泡断熱材(ウレタンスプレー等)
・シーリング材

これらを適材適所で使い分けて気密工事をしていきます。

「弁天橋通の家」の壁面は、気密テープを使い隙間を閉じます。

R0032253壁パネル気密処理_気密テープ

柱や梁と壁パネルとの隙間にはわずかにクリアランス(隙間)がありますので、こうした部分を全て気密テープ(写真で黒く見える部分)でテープ処理します。

こちらが柱と壁パネルの気密テープを貼った様子

R0032259壁パネル気密処理_アクリル気密テープ

気密テープは、気密防水テープとも呼ばれこうした気密処理専用のテープです。
安価で入手しやすいという理由で養生テープやガムテープなどを使うことはNG。価格も違いますが、接着力と耐久性も違います。気密テープと称するカテゴリーのものでも母材に対する接着力が違いますので十分比較検討してから気密テープも選定するべきです。


適材適所で気密処理


どこもかしくも気密テープで隙間を閉じることができるかと言えば、そうでもありません。
例えば、以下のような部分は気密テープでは困難ですので、シーリング材を使います。

赤丸で囲んだ屋根パネルと梁の取り付き部分。ここは先端に向かって先細るように狭くなっているため、シーリング材を充填し気密処理をします。

R0032278屋根パネル-桁気密処理

シーリング材にはウレタンコーキングを使用。(写真で白く見える部分)

R0032271屋根パネル-桁気密処理_ウレタンコーキング

ウレタンコーキングは紫外線劣化の影響がないこうした屋内使用であれば、他と比べても密着性もよく、隙間を閉じる目的に適しています。密着性がよい分乾きが遅いのでうっかり触らぬように(笑)


熱橋防止の断熱補強


躯体や断熱層を貫通してくるものには建築金物や設備配線など様々あります。

赤丸で囲んだ羽子板金物は梁が引き抜けることを防止するための金物ですが、反対の外側からボルトで引っ張っていますので、熱的には熱伝導が高い金属が躯体を貫通していることになります。

R0032275羽子板ボルト貫通部

このような箇所は建物外周に面して梁が掛かっている箇所の数だけありますので、熱橋防止のために断熱補強を行います。

こうした箇所には現場発泡断熱材としてウレタンスプレーを使います。(写真で泡状に見える部分)

R0032280ボルト貫通部ウレタンスプレー断熱補強

外から羽子板ボルトが貫通し露出している金物の部分に全てウレタンスプレーを充填。

R0032284ボルト貫通部ウレタンスプレー断熱補強

内外温度差が大きくなる真冬には羽子板ボルトが外気から冷やされ、室内の金物部分で結露する可能性がありますので断熱補強し、熱の伝導を押えます。


コンセントボックスも外周部の断熱層を貫通し、熱橋となる部分。

R0032345コンセントボックス断熱気密処理

コンセントボックスも先ほどの羽子板ボルト貫通部と同様にウレタンスプレーで断熱補強。

R0032346コンセントボックス断熱気密処理_ウレタンスプレー

空けた穴は閉じる。欠損した断熱部分は補強する、これが基本。
最後に外周部すべてを点検し、補修漏れがないことを確認し次の工程に進みます。


気密は必要か?気密化しない弊害とは?


“気密“と書くと時々住宅が気密になったら息苦しくなるのでは、とか多少隙間があった方が丁度いいのでは?と言われることがあります。
感覚論でいくと分からなくもないのですが、技術的にも、そして過去の研究しつくされた結論として、「気密化した方が幸せになれます」と言い切れます。

バックデータは長くなるので別の機会に書くとして、そもそも気密は気密が目的でなく手段なのです。
気密をする目的は

(1)計画換気の実現
(2)外風圧や温度差で発生する漏気的な熱損失を押える


この2点が気密化の効能です。

(1)の計画換気がおこなえれば換気不足による結露を押え、換気経路が明確になることでショートサーキットも防止することができます。
家の換気経路をストローに例えれば、コップにストローを立てて吸っても、途中に穴が開いたストローでは途中で漏れて吸いきれません。この理屈と同じ。

(2)は少し解説しないと理解が難しいのですが、気密性能と外風圧・温度差漏気の関係には相関があります。風が強い日などは、隙間が多いと隙間風による漏気が増えそれが熱損失に繋がります。気密性能が高くなると外風圧の影響が少なくなり、必要な計画換気だけを機能させることができます。真冬の風の強い日などは余計にこうした漏気による熱損失は無用の長物です。

また、気密性能のアップは自然に起きる温度差換気も抑えることができます。
“暖かい空気は自然と上に上がり、冷たい空気は下に落ちる“これは経験的に誰もが感じることですが、気密性能が低いと換気システムを動かしても建物内外での差圧が上がらず、この浮力による温度差換気の影響を強く受けます。
気密性能と温度差による自然換気の関係にも相関があり、高さが低い平屋建てよりも階高が大きくなる2階建ての方が温度差換気の影響が強くなります。

最後に、気密性能の数値的な目標を示すと、2階建てであれば大よそC値(隙間相当面積)で1cm2/m2以下を目標にすべきで、可能ならその半分の0.5 cm2/m2以下を目指して気密工事と現場管理をしていきたいものです。

住宅の気密化はそれ自体が目的でなく、計画換気とセット。気密性能が悪いと換気システムのファンが回っていても思惑通りには空気は動きません。実態として上に書いた気密性能が実現できても100%換気口から空気が入ってるくることがないという事実も知っておいていただきたい。

蛇足的に書くと、今の住宅は大壁造のクロス貼りが主体となり、サッシの気密性能アップも相まって、何も気密工事をしなくても建築当初ではそこそこ気密性能はあります。測ればC値では3~5cm2/m2程度はあると思います。
そこそこあるなら不要でしょ論が出そうですが。キーワードは“長期性能維持”。時間と共に隙間は増え、性能が低下します。気密化の効果はその性能が継続的に担保できることでもあるのです。

『 気密化 = 計画換気、熱損失低減、防露、長期性能維持 』

この関係が表裏一体。機会があればもう一歩踏み込んだ話ができればと思います。




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10 Comments

kinako  

基礎パッキン

先日は柱脚金物の件でご返答有難うございました。
別件でご相談があります。
ベタ基礎の床部分を塗装して室内として使用するので、
基礎パッキンは通気なしタイプのはずが、
通気タイプで施工されてしまいました。
対処方法として下記を施工する予定です。
1、パッキン外部側 防風シート(両面テープで密着)
2、通気パッキンのなか発泡ウレタン充填なし
3、パッキン内部側 防風シート(両面テープで密着)
4、基礎立上り~土台まで発泡ウレタン吹付け
他に何かよい方法がありましたら、
ご教示をお願いできないでしょうか?
(相談を受付て頂けるのか分からず質問してしまっています。
  もし相談事がNGなのでしたら申し訳ありません)

2013/07/25 (Thu) 16:14 | EDIT | REPLY |   

山口@山口工務店  

先日は問い合わせの件は内容から察するに急を要する感じでしたので間に合ったよかったです。

さて、今回のご質問の件ですがべた基礎+基礎断熱で本来は土台と基礎との間は土台気密パッキン等で気密するべきところ、換気用の基礎パッキンを使ってしまったということですね。
恐らく上部の躯体工事が進んでいる状況と思われますので今から基礎パッキンだけをとることは不可能ですので、なんかの補修方法が必要です。

補修方法はkinakoさんが上げていただいた1~4の方法で構いません。これ以外の補修方法はないと思います。
特に4番が実質的な断熱気密補修となりきっちりなされる必要があります。
ちなみに今ある基礎パッキンの隙間に発泡ウレタンを注入するのは現実問題無理です。あの細かい隙間ではうまく充填はできません。

基礎の外周部立ち上がり部分には断熱材が立ち上がっていると思いますので、(ここでは基礎の内側に断熱材の立ち上がりがあると仮定します)その断熱材の立ち上がり部分から基礎パッキンをまたいで土台の高さ半分くらい掛かることを目安に発泡ウレタンを吹きます。
過去記事の中で参考になりそうな写真が掲載されているページをリンクしておきます。
http://yamahome.blog96.fc2.com/blog-entry-603.html
http://yamahome.blog96.fc2.com/blog-entry-364.html

参考になさってください。
やってしまったものは仕方ないので、うまく補修ができることをお祈りしております。

2013/07/26 (Fri) 15:59 | EDIT | REPLY |   

kinako  

山口様
ご返答ありがとうございます。

>1~4の方法で構いません。これ以外の補修方法はないと思います。
→安心しました。

>特に4番が実質的な断熱気密補修となりきっちりなされる必要があります。
→口を酸っぱくしてお願いしようと思ってます。

>断熱材の立ち上がり部分から基礎パッキンをまたいで土台の高さ半分くらい掛かることを目安に発泡ウレタンを吹きます。
→断熱は基礎の内側に施されます。
 リンクページの写真、とても参考になります!

丁寧にご教示下さいまして
ありがとうございました。


  

2013/07/26 (Fri) 22:11 | EDIT | REPLY |   

山口@山口工務店  

kinakoさん

お返事遅くなりました。今頃は無事補修も完了してるころかな?
参考になったなら幸いです^^。

2013/07/31 (Wed) 16:31 | EDIT | REPLY |   

kinako  

山口様

宙に浮いた柱、基礎パッキンの補修はまだ完了していません。
そして、また新たに問題が出てきました。。。

上棟明け、切妻屋根の片側は防水紙を張っていて濡れなかったのですが、
もう片側はルーフバルコニーで合板のみしか張られていなかった為、
12日程、雨ざらしになり、柱・梁・構造用合板などの
木材がカビてしまいました。
(ルーフバルコニー部分は、ブルーシートで覆うようにお願いして、
               今は雨ざらし状態ではありません)

対策として、プロパストップという
カビ除菌剤とカビ防止剤を散布する予定です。
他に何か良い対策をご存知でしたらご教授をお願いできないでしょうか?
知らなかったら知らないで結構です。
他の工務店さんにも聞いたのですが、目に見えるカビを生えさせた
経験がないそうで分からないと言われました。
またのご相談で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。



2013/08/03 (Sat) 14:41 | EDIT | REPLY |   

山口@山口工務店  

kinakoさん

おつかれさまです。カビの件、拝読しました。
カビを綺麗にとるには薬品を使って漂白することになります。
株式会社ミヤキの
・ノーベルAB
http://www.miyaki.com/nobel.html
・カビスケ
http://www.miyaki.com/kabisuke.html

がカビ取り用に開発された薬品です。
実際の状況によっては前処理をした方がよかったり、状態によってどの薬品がベストか(漂白力が強い弱いがあるので)がありますので、一度ミヤキさんに相談されてから使用の可否を判断されるとよいと思います。

私自信はカビ取りで上記薬品を使った経験はありませんが、白木のしみ抜きで別の「レブライト」は使います。

どれも業務用商品ですので、使用判断も含めて工務店さん経由で相談されるとよいと思います。

2013/08/04 (Sun) 09:35 | EDIT | REPLY |   

kinako  

山口様
ご返答ありがとうございます。

カビた箇所のうち、
構造用合板などは隠れてしまいますが、
木現しにする箇所もありますので、
きれいに漂白できる商品を使用した方が
よいのかもしれませんね。
工務店さんに相談してみます。

ご教授下さいまして、
ありがとうございました。



2013/08/04 (Sun) 12:39 | EDIT | REPLY |   

山口@山口工務店  

kinakoさん

隠れてしまうところで、完成後、湿気が悪さをしないようなところでしたら工事と共に塞いでしまってもその後も問題はないでしょう。

ただ、化粧(あらわし)になる部分はやはり落とさないといけません。
鉋をかけるか、鉋掛けの表面程度では根が深くカビが取れないようであれば薬品を使ってのカビ取りとなるでしょう。

白木用のカビ取りやしみ抜きの薬品はほんとに綺麗になるので、相談しながら使用を検討してみてください。

2013/08/06 (Tue) 15:31 | EDIT | REPLY |   

kinako  

山口様

アドバイスありがとうございます。
本当に助かります。
こういったきめ細かい対応は「人間」にしかできませんね。

2013/08/09 (Fri) 20:05 | EDIT | REPLY |   

山口@山口工務店  

kinakoさん

作るのも、直すのも人の手です。同じ材料でも作り手によって仕上がりが異なります。この辺がモノづくりの楽しいところでもあり、難しいところです。

いい住まいが完成しますことをお祈りしております。

2013/08/13 (Tue) 00:12 | EDIT | REPLY |   

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